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ESL Podcast English Café 490-1:ボクサーであり社会運動家でもあったモハメド・アリ

2017/11/02

 

ESL Podcast English Café(Cultural English) 490」の1つ目の話題のモハメド・アリ(Muhammad Ali)の抄訳です。English Café はダイアログ形式のレッスンより長めですので、いくつかに分けてブログにアップしていきます。

現在、英語学習サイトESL Podcastの無料サンプルレッスンをやっています。下記のリンクからポッドキャストが聞けるサイトへいけます。English Café 490の音声もあります。

English as a Second Language (ESL) Podcast - Learn English Online

 

 

Muhammad Ali

モハメド・アリは1942年にケンタッキー州(Kentucky)で生まれました。ケンタッキーはアメリカの東側の半分の地域の中ほどにあり、イリノイ州の下側(Illinois)です。

 

Kentucky

Kentucky

 

モハメド・アリは、両親からもらった名前ではありません。本名(original name)は、Cassius Marcellus Clay Jr. (カシアス・マーセラス・クレイ・ジュニア)です。最初の2つの名前の"Cassius" と"Marcellus"は、たいへんローマ風(Roman)の名前です。名前の最後に"Jr."とついていることから分かるように彼の父親も同じ名前でした。

私の父の名前はパトリック(Patrick)ですが、私の兄の名前もパトリックで、パトリック・ジュニア(Patrick Jr.)という名前です。兄の息子はパトリック・サード(Patrick III)ですが、彼の息子はミドルネームが違う名前ですのでパトリック・フォース(Patrick IV)にはなりませんでした。

 

segregation:人種隔離

モハメド・アリは、人種隔離(segregation)がなされていた時期のアメリカ南部で育ちました。人種隔離というのは、アメリカの歴史の中におけるある期間のことを指し、その時期のアフリカ系アフリカ人は白人と同じように行くことができない場所がいくつか法律で決められていました。

白人と同じ学校には行けませんでしたし、仕事ですら白人が働いている同じ場所にはいけませんでした。またアフリカ系アメリカ人は、警察による十分な保護を受けることが出来ませんでした。

 

to take up:(仕事や趣味などを)始める

アリは12歳のときに、ボクシングを始めました(to took up boxing)。句動詞の“to take up”は、なんらかの活動を始めるという意味で、特に趣味(hobby)やスポーツを始めるという場合に使われます。

I’m going to take up the violin.

私はバイオリンを始めるつもりです。

= I’m going to start or begin playing the violin.

 

私も数年前にバイオリンを習い始めたんですよ。でも妻から、あなたの部屋からもれてくるバイオリンのひどい音に耐えられないわ(can't stand)と言われ、6ヶ月しか続きませんでしたけどね。

 

professionally:(副)職業的に、専門的に

1960年には、アリはローマオリンピックのボクシング競技で金メダルを獲得しました。オリンピック後、アリは職業としてボクシングを始めました(to began boxing professionally)。ボクシングをすることでお金を稼ぎ(to get paid)始めたのです。

※文中のこぶし(fist:フィスト)という単語が、殴る(hit:ヒット)と似ていて聞き取りにくいかもしれません。

 

center of attention:注目の的

アリは人々の注目の的(center of attention)になるのが大好きでした。そんな彼は、自分の試合のときに使う、ほとんど詩のような名言(phrase)を好んで作っていました。最も有名なものは、自身のボクシングスタイルを表現した次の一文です。

 

float like a butterfly and sting like a bee.

蝶のように舞い、蜂のように刺す

to float:浮かぶ 

to sting:刺す

 

"to float"は、「空中を漂っている(moving)、でもとても素早く動いているわけではない」という意味です。

蜂(a bee)は、黄色と黒の縞模様をしていることが多い昆虫(insect)です。蜂は、小さな針状(needlelike)のもので人の肌を刺します(sting)。アリは自分がボクシングで相手を殴る様を、蜂が人を刺す様になぞらえたのです(to compare)。

 

agile:機敏な、身の軽い;頭の回転が速い

アリが自分自身を蜂などになぞらえたのは、自分が非常に敏捷な(agile)ボクサーであると考えていたためです。"agile"とは、素早く、そして容易く動く能力を言い表す時に使う言葉(形容詞)です。この言葉の名詞は"ability"となります。

彼のこういった性格(characteristic)は、より伝統的なスタイルのボクシングを好む人々からは、やや不評で、そういった人たちはアリのことをあまり良くないボクサーだと考えていました。でもアリは勝ち続けました。

 

Muhammad Ali - Amazing Speed

 

to reign:君臨する、支配する

1964年の2月にアリは、ヘビー級チャンピオンの座に君臨する(the reigning heavyweight champion)ソニー・リストン(Sonny Liston)に挑むことを決意しました。"reigning champion"というのは、現在のチャンピオン(the current champion)のことです。

"to reign"という動詞は、通常は王や女王が統治している(to rule)、その地域を担当している(being in charge)場合に使う単語です。

The Queen of England reigning in England.

イギリス女王がイギリスに君臨している

 

皆さんもたぶんご存知のように、ボクシングは選手の体重で部門(category)が異なります。アリはヘビー級のボクサー(heavyweight boxer)で、この部門は200ポンド(91キログラム)を超える体重の選手が出場します。

殆どの人は、アリはリストン勝てるとは思っていませんでした。ですが彼は勝ち、チャンピオンになりました。

 

Muslim:イスラム教徒、イスラム教の

1964年の2月、アリになにかたいへん興味深いことが起こり、アリはイスラム教徒(Muslim)になることにしました。彼はイスラム教の教え(Islamic religious teachings)に興味を持っているアフリカ系アメリカ人の組織「ネーション・オブ・イスラム(Nation of Islam)」というグループに参加しました。

 

ネーション・オブ・イスラム (Nation of Islam, NOI) は、ブラック・ムスリム・ムーヴメント (Black Muslim Movement) とも呼ばれ、世界恐慌中の1930年にデトロイトでマフディ(救世主)を名乗ったウォーレス・ファード(英語版)(アフガニスタン出身とされている)によって創始された。黒人の経済的自立を目指す社会運動であり、白人社会への同化を拒否し、黒人の民族的優越を説く宗教運動でもある。

日本語版Wikipediaより

 

関連記事:ESL Podcast English Café(Cultural English) 586-1:マルコムX(Malcolm X)イスラム教に改宗したアフリカ系アメリカ人解放指導者

 

nationalist:愛国主義者、国家主義者

ネーション・オブ・イスラムでは、イスラム教の教えにブラックナショナリズム(black nationalism)を結合させたものを説いていました。

ブラックナショナリズム(black nationalism):アメリカの急進的な黒人解放運動。公民権運動が人種差別制度の廃止と黒人の白人社会への同化による人種的統合を目的としているのに対し,黒人の自決権を要求して黒白分離を主張,黒人自身の社会の建設を目標にしている。

コトバンクより

 

愛国主義者(nationalist)とは、自分の所属するグループに強い誇りを抱く人のことです。人種(ethnic group)や宗教(religious group)ごとに別れて土地を割り当て、国を創るべきだという考えは、まさに国家主義(nationalism)の考え方です。

こういった考えは多くの場合、たいへん危険な考えに変容していきましたが、ネーション・オブ・イスラムの場合は、アフリカ系アメリカ人が自分たちの利益(interest)を守り、戦う必要があるという感覚を表したものでした。

当時はアメリカ南部で、まだ人種隔離(segregation)が多くの場所で強力でした。ですので自分たちを自分たち自身で守らなくてはいけない感じる彼らの心情を皆さんも理解できるのではないでしょうか。

 

social activist:社会運動家、社会活動家

イスラム教に改宗してから、アリは名前を カシアス・マーセラス・クレイ・ジュニア(Cassius Marcellus Clay Jr.)から、モハメド・アリ(Muhammad Ali)へと変えました。そして彼は社会活動家(a social activist)の活動もし始めました。

"activist"とは、地域社会や地域社会の政策を変えていこうとする人たちのことを指します。

 

to be drafted:徴兵される

1960年代に、アリは社会活動家、政治活動家(political activist)として活動し、ベトナム戦争に反対していました。政府から徴兵された(to be drafted)時には、ベトナムに行くことを拒絶しました(to refuse)。

 

conscription:徴兵、徴兵制度

徴兵とは国が一部の国民に、あなたは軍隊に入らなくてはいけないと告げることですが、名詞だと"conscription"といいます。アメリカでは過去100年において、数回、徴兵がなされました。

 

conscientious objector:良心的兵役拒否者

アリは宗教的信仰(religious beliefs)に背くことになるという理由で、徴兵を免除されること(to be exempted)を望んおり、自身のことを良心的兵役拒否者(conscientious objector)であると称していました。

動詞の"to object"は、なにかに反対するという意味ですので、"objector"とは、「反対者、異議を唱える人」という意味になります。

形容詞の"conscientious"は「良心的な」という意味で、名詞の良心(conscience)から来ています。

 

to indict:起訴する、告発する

アメリカ政府はアリの要求を拒否し、3度に渡って徴兵を試みました。そのたびにアリは免除を求め、徴兵を拒否しました。そしてとうとう、アメリカ政府は、アリを起訴することにしました。

"to indict"は、犯罪に関与したとして告訴する(to accuse)という意味です。

1967年に、アリは告訴され、有罪判決を受け(to found guilty)、5年間刑務所に入るようにと宣告されました(was sentence)。ですがアリが刑務所に入ることはありませんでした。

 

to appeal a court decision:上訴する、控訴する

アリは弁護士を雇い、弁護士にこの判決(the ruling)を上訴(to appeal)させました。"to appeal a court decision"とは、より高いレベルの法廷にて判決を再審理してもらい(review)、判決を変更してもらいたいと頼むことです。

このような裁判が起こっている間に、プロボクサーの試合を采配する組織は、アリのヘビー級チャンピオンのタイトルを彼から剥奪しました。

 

the United States Supreme Court:連邦最高裁判所

アリのこの裁判は、アメリカでもっともレベルの高いぽい邦最高裁判所(れんぽうさいこうさいばんしょ:the United States Supreme Court)に持ち込まれました。

最高裁判所は、アリが懲役の免除を要望した3回のうち2回では、免除が与えられるべきであり、政府側の間違いであったと考えました。

そして免除を要望した3回のうちの1回のケースでは、アリには免除が受けられる資格がなかった、もしくは免除に必要な条件を満たしていなかった(Ali did not qualify, or did not meet the requirements. )としましたが、その際には政府の管轄である下級裁(original court)において、(incorrectly)陪審団により判決が誤って下されなかったと考えました。

このような最高裁の判断により、アリは刑務所に入りませんでした。

 

連ぽい…面白かったので残しときます。

※アメリカには州の最高裁判所と、アメリカ全体としての最高裁判所の2種類があり、両方とも"Supreme Court"が名前に付くので勘違いし易いように思います。

 

Rumble in the Jungle:キンシャサの奇跡

1970年になって、アリは再びプロボクサーとして活動しはじめ、1973年には再び世界ヘビー級チャンピオンの座を目指しましたが、この時は有名なボクサーであるジョー・フレジャー(Joe Frazier)に破れました。

しかし、フレジャーがジョージ・フォアマン(George Foreman)に敗れたあとで、アリはフォアマンにアフリカのコンゴ共和国(Democratic Republic of Congo)の地にて挑戦しました。

先に述べましたように、アリは詩的な言い回しで物事を言い表すことで有名でしたから、彼はこのアフリカでの一戦を"Rumble in the Jungle"と名付けました。アリはこの戦いに勝ちました。

"rumble"は、たいへん古いスラングで、戦い(fight)を意味します。

rumble: (大勢または不良仲間の路上での)けんか;ゴロゴロ鳴る、ガラガラ鳴る

キンシャサの奇跡(キンシャサのきせき)は、1974年10月30日、ザイール共和国(現在のコンゴ民主共和国)の首都キンシャサの「5月20日スタジアム (Stade du 20 Mai) 」[1]で行われたプロボクシングWBA・WBC世界統一ヘビー級タイトルマッチの通称。王者ジョージ・フォアマンと挑戦者モハメド・アリが対戦し、アリが劇的な逆転KO勝利をおさめたことからこの名で呼ばれるようになった。

日本語版Wikipediaより

 

Thrilla in Manila:スリラー・イン・マニラ

翌年にはジョー・フレジャーと再びチャンピオンの座をめぐり相まみえました。この一戦はフィリピンで行われスリラー・イン・マニラとアリにより名付けられました。アリはこの試合にも勝利しました。

"thrilla"は、「スリルを与える物」という意味の"thriller"のくだけた言い方です。

 

Muhammad Ali vs. Joe Frazier 3 FULL FIGHT Thrilla in Manilla

 

 

public figure:有名人、著名人、名士

アリは数度、ボクシングから離れていますが、引退したのは1981年のことでした。引退後は、イスラムの教えを学ぶことを続け、他の少数派のグループの代弁者(spokesperson)にもなりました。

アリは長年にわたり、アメリカで著名人(public figure)であり続けましたが、最近ではパーキンソン症候群(Parkinson’s syndrome)のため、公の場に姿を見せることができなくなりました。

パーキンソン症候群は、話したり、動いたりすることが困難になる病気なのです。

 

 

関連サイト:

日本語版Wikipedia モハメド・アリ

英語版Wikipedia Muhammad Ali

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