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ESL Podcast English Café 582-1:ゴスペルとブルースを結びつけた作曲家トーマス・A・ドーシー! Traditional Gospel Music and Thomas A. Dorsey

2017/07/21

Thomas A. Dorsey

ESL Podcast English Café 582」の1つ目の話題の「トーマス・A・ドーシー:Traditional Gospel Music and Thomas A. Dorsey」の要約です。同じ回の他の話題については以下のリンクからどうぞ。

ESL Podcast English Café 582-2:質問コーナー cliché, stereotype; chicken, hen; to nail it

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今日のお話の主人公ドーシーさん、イケメンですやん!!

以前は、ゴスペル(Gospel)とはアフリカ系アメリカ人による教会音楽だと思ってたんですが、ESL Podcastの別の回のお話で、音楽だとすると話が繋がらなくなり、調べてみて「福音・教義・キリストの教え」という意味があることを知りました。今回も宗教絡みで難しかった。

このドーシーさんの日本語版Wikipediaがないので、英語に関係なく、こちらに来られる方がいらしゃると思うと緊張する!EnglishCafeは、そういう使われ方がわりとあるみたいです。

 

 

目次

Traditional Gospel Music and Thomas A. Dorsey

今日はゴスペル・ミュージック(gospel music)についてお話します。

 

gospel ①:福音、キリストとその使徒たちの説いた教え、キリスト教の教義

"gospel"とは、通常はキリスト教の始祖(founder)イエス・キリスト(Jesus Christ)に関する書物のことを指します。

キリスト教の聖典(the Christian Bible)の中には、4冊の福音書があります。

マタイ(Matthew)、マルコ(Mark)、ルカ(Luke)、ヨハネ(John)によって書かれたものです。

関連サイト:Wikipedia 福音書

 

 

gospel ②:ゴスペル・ミュージック

"gospel"には、ある音楽の種類や、音楽の様式(style)という意味もあり、それは19世紀後期にアフリカ系アメリカ人のキリスト教徒の教会から始まった(originate)ものです。

 

 

to emerge:ある場所から始まり人気となる;表面に出てくる、浮かび上がる

ゴスペル・ミュージックは、アフリカ系アメリカ人の教会から始まり人気となり(emerge)、19世紀後期から20世紀始めの慣例(tradition)となりました。

"to emerge"とは「ある物がある場所から始まり、そしてより人気が出る、より重要なものとなる」という意味です。

 

 

spiritual:黒人霊歌、精神的な、霊的な

ゴスペル・ミュージックの発端となったものは、初期のアフリカ系アメリカ人の教会の間で慣例(tradition)となっていた黒人霊歌(spiritual)と呼ばれるものです。

黒人霊歌(spiritual)とは、宗教的な歌のことで、アメリカ南部の奴隷たちによって歌われていたものです。

黒人霊歌には、アフリカの音楽と共にヨーロッパの教会音楽の影響が混ざっています。

 

 

characteristic:(形)独特の、特徴的な;(名)特徴

19世紀初期から中頃では、黒人霊歌はアフリカ系アメリカ人によって教会で歌われる曲であると同時に、教会の外でも歌われていました。

ゴスペル・ミュージックは、伝統的な黒人霊歌の延長にあり、少なくとも黒人霊歌の持つ特徴(characteristic)を部分的に受け継いでいます(take)。

 

 

lively:元気な、活発な、活気のある、強烈な

ゴスペル・ミュージックに19世紀後期に起きた大きな変化のひとつは、よりエネルギッシュな(energetic)、より活気のある(lively)音楽になったことです。

活気のある(lively)とは、たいへん興奮している(full of excitement)状態を指し、この種の音楽を聞いたひとを、動き回らせたり(move around)、体を動かせたりします。

 

 

church services:教会の礼拝

このようにゴスペル・ミュージックに変化が起きた理由は、新しい種類の教会が、この時期のアフリカ系アメリカ人の間で人気を呼んだからでした。

音楽が変わっただけではなく、教会の礼拝(church services)も変わりました。

 

 

Pentecostal:(形)ペンテコステの、聖霊降臨日の祝日の、ペンテコステ派の

とりわけ(In particular)聖霊運動(Pentecostal movement)は、アフリカ系アメリカ人のコミュニティの中では人気がありました。

"Pentecostal"とは、その場にいる人々が熱狂(enthusiasm)してしまう(be marked)、あるキリスト教の祝賀儀式(Christian celebration)のことです。

 

These People Enjoy Having Pentecostal Church Service Ohio

 

ペンテコステ(ラテン語: Pentecostes)は、聖霊降臨(せいれいこうりん)と呼ばれる新約聖書にあるエピソードの1つ。イエスの復活・昇天後、集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が降ったという出来事のこと、およびその出来事を記念するキリスト教の祝祭日。

聖霊運動(せいれいうんどう)とは、聖霊によるキリスト教会の刷新を求める運動。

 

 

theological:神学の、神学的な

人々が集って強い感情(emotion)を露わにするといったやり方は、より伝統的な他の教会の礼拝にはないことでした。

聖霊運動(Pentecostal movement)には他の要素もあったのですが、それは神学的な(theological)もので、礼拝のやり方についてだけではなく、宗教的な目的(purpose)にも絡むことでした。

not just ~ but…:~だけでなく…も

重要なことは、アフリカ系アメリカ人のコミュニティにあるペンテコステ派の教会(Pentecostal churches)では、礼拝で使われていた音楽を変化させていくことへの刺激材料(a inspiration)として礼拝が使われたということなのです。

 

 

preacher:牧師、伝道師、説教者

こういった動きは、牧師(preacher)にとって礼拝の常識となっていきました。

牧師(preacher)とは、礼拝を行い、お説教(religious talk, sermon)をする人物のことです。

※牧師はプロテスタント、神父はカトリック

 

 

congregation: (礼拝に集まる)会衆・信徒たち、集まり、(特に宗教上の)集会

牧師(preacher)はお説教をし、礼拝に集まった人々(congregation)は後から「アーメン(amen)」といい、牧師の話すことに賛同を示します。

このスタイルは、この時期以前の典型的(typical)なものではなく、今日でさえもほとんどの教会では取り入れられていません。

 

 

blues:(音楽)ブルース、米国南部の黒人の間で生まれたゆるやかなテンポの音楽で悲しみや嘆きを歌ったものが多い

ゴスペル・ミュージックが発展に寄与した(development)他のものには、宗教とは関係がない(non-religious)音楽であるブルース(blues)があります。

ブルース(blues)とは、音楽の種類(a type of music)です。

普通は悲しいテーマ(a sad theme)、悲しいお話、失恋や不幸についての曲となっています。

ですが、宗教的ではまったくなく、多くのブルースには性的な内容が含まれているので、教会の礼拝でくつろいで(at home)聞けるものではないのです。

 

 

Deep South:アメリカの南東部、ディープサウス

ペンテコステ派教会の礼拝でのブルースと黒人霊歌(spiritual)という、たいへん異なるもの(source)を結びつけた(combine)のは、トーマス・A・ドーシー(Thomas A. Dorsey)という男性によるところが大きいのです。

ドーシーは、1899年7月に、ディープサウス(Deep South)と呼ばれているところで生まれました。

ディープサウス(Deep South)とは、アメリカの南東部にある州のことを指し、南北戦争(Civil War)で敗北を期した側である南軍(アメリカ連合:the Confederacy)に関連する地域です。

 

 

minister:聖職者、牧師、大臣、外交使節(ambassador の下位)

ドーシーはジョージア州(Georgia)で生まれました。

ジョージアは、アメリカの南東部にあり、フロリダ州の隣です。

ドーシーの父親は、教会の聖職者(minister)で、母親はピアノ教師でした。

そして16歳でシカゴの北部に引っ越しました。

この時期(19世紀初期)、アフリカ系アメリカ人が南部を抜け出し、北部のシカゴやデトロイト、ニューヨークといった大都市へと移るのはよくあることでした。

 

Georgia

Georgia

 

composition:作曲、作曲法、構成

ドーシーはシカゴの大学で、作曲(composition)とアレンジ(arranging)を学びました。

作曲(composition)とは、音をまとめて曲の形にする行為をいいます。

曲を書く人のことを作曲家(composer)といいます。

 

 

to arrange:編曲する、アレンジする;整える、手配する

音楽を編曲する(to arrange music)とは、他の楽器で演奏したり、異なる声質で歌ったりするために曲を変えることをいいます。

 

 

playable:演奏できる、行える

例えば5人の音楽家からなるグループがあったとします。

異なる楽器でそれぞれの音楽家が演奏できるように(playable)、曲を編曲する(to arrange music)ことが必要になってきます。

 

 

copy:部、冊;写し、コピー

ドーシーは、ジョージア・トム(Georgia Tom)という名前でブルースを演奏する他の音楽家たちと働き始めました。

ジョージアはもちろん、彼の出身地です。

1928年には、他のミュージシャンと組んで製作した"It’s Tight Like That"という曲が大ヒットし、700万枚(seven million copies)を売り上げました。

ドーシーは他にも400を超えるブルースを作曲しました。

 

Tampa Red & Georgia Tom - Its Tight Like That

 

appropriate:適切な、相応しい

ブルースは教会には相応しくない(not be appropriate)曲だったと、すでにお話しましたが、多くの人が驚いたことに、素晴らしいブルースを演奏するミュージシャンであり作曲家でもあったドーシーは、やがてゴスペル・ミュージックの作曲家になります。

1930年代の始めには、教会に戻って教会向けの音楽の仕事をはじめ、ブルースをゴスペル・ミュージックに取り入れ始めました。

 

 

choir: (教会の)聖歌隊、合唱団

彼はシカゴのバプテスト派の(Baptist)教会の聖歌隊(choir)の指導者となりました。

聖歌隊(choir)とは、歌を歌う人たちで構成されたグループのことで、普通は教会で歌いますが、いつもそうだというわけではありません。

 

 

denomination:宗派、教派、階級、名称

バプテスト派(Baptist)は、キリスト教の宗派(denomination)で、アフリカ系アメリカ人のコミュニティではたいへん人気がありました。

現在でも、多くのアフリカ系アメリカ人はバプテスト派(Baptist denomination)です。

 

 

to dedicate:打ち込む、身を捧げる、専念する

ドーシーは、ゴスペル・ミュージックに興味をさらに抱き、ある組織の設立を助け、アメリカにゴスペル・ミュージックを普及させることに、打ち込み(dedicate)、その組織の長としてほぼ40年ほど働きました。

 

 

uplifting:高揚させる、励みになる

彼が作曲し、レコーディングした曲の多くは、現在でもよく知られる(best-known)ゴスペル曲となっています。

彼の音楽には共通するテーマがあり、それはとても肯定的(positive)な傾向をもつ(tend to)音楽でした。

高揚させる(uplifting)音楽だと言えるかもしれません。

 

 

to estimate:見積もる、評価する、値踏みする

今日でも教会で歌われているゴスペル曲の25%が、ドーシーによって作曲されたものだと、見積もる(estimate)人もいます。

 

 

precious:貴重な、高価な、大切な

ドーシーの最も有名な曲は、1932年の"Take My Hand, Precious Lord Rehearsal"でしょう。

曲名の中の"Lord"は、キリストのことです。

"Precious"とは、大事にしている価値のあるもの、守りたいもの、という意味です。

"Take My Hand"は、この場合ですと、助けてください(help me)という意味です。

「私の手を取り、この困難な時期の間、私を助けてください」という意味ではないでしょうか。

 

Beyonce - Take My Hand, Precious Lord Rehearsal

 

 

to depress:意気消沈させる、憂鬱にさせる

確かに、この時期はドーシーにとって困難な時期でした。

1932年に、彼の最初の妻が出産(childbirth)で亡くなり、子供も翌日には亡くなってしまいました。

この事件は、ドーシーを完全に変えてしまい、非常に意気消沈し(depress)ていましたが、その悲しみをこの曲の作曲へと向けたのではないでしょうか。

 

 

civil rights:公民権、市民権

1968年、公民権運動のリーダーであったマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(彼自身もバプテスト派の聖職者です)が、この曲"Take My Hand, Precious Lord Rehearsal"を演説の中で流してほしいと頼みました。

悲しいことに、そのスピーチの直前に、キング牧師は暗殺されてしまいました。

ですので、この曲はアフリカ系アメリカ人の間で強力な繋がり(powerful connections)を持っているのです。

 

 

Who knows:なんとも言えませんが

ドーシーはゴスペルの父(father of gospel)と呼ばれるようになりました。

1993年1勝ちに93歳で彼は亡くなりました。

彼の曲は歌われ続けており、なんとも言えませんが(Who knows)皆さんが気が付かないうちに、その何曲かを耳にしているかもしれませんね。

ところで、ドーシーによく似た名前のトミー・ドーシー(Tommy Dorsey)という1920年代に活躍した著名なジャズ・ミュージシャンがいます。

ですがこの2人は親類関係ではありません。

 

関連サイト:Wikipedia Thomas A. Dorsey

 

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