【英語表現】"if someone's an inch"は、慣用句的な強調の表現
2020/05/17
"He's a size eight if he's an inch."
アメリカのテレビドラマ「エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY:Elementary」の中に出てきて、意味が分からず調べたフレーズです。
犯罪現場に残された足跡について、ホームズが自分の見解を述べるシーンに出てきました。
Abreu: I uh, just want to say thanks for helping out today. You, you got us our guy in, and, uh and we're grateful. We can take it from here.
アブレブ刑事:今日は手伝ってくれてありがとう。君のおかげで犯人の被害者の夫も捕まえられた。感謝してるよ。あとは俺たちに任せてくれ。
Holmes: Respectfully, Detective, I doubt that very much, 'cause I have reason to believe that Richard Mantlo didn't kill his wife.
ホームズ:謹んで申し上げるが、アブレブ刑事、彼が犯人かは大いに疑問だ。被害者の夫リチャード・マントロ医師が妻を殺害していないと信じるに足る理由がある。
Abreu: Wait, wait, wait. Wait, wait. Come again?
待て待て待て、なんだって?
Holmes: Dr. Mantlo has girls' feet, or hadn't you noticed? He's a size eight if he's an inch.
ホームズ:マントロ氏の足のサイズは男性にしては小さいけれど、気が付かなかった? 彼の足のサイズは8(26センチ)だ、もし彼が1インチ(約2.5センチ)あるのならね。
Dr. Mantlo:殺害された女性の夫、マントロ氏、精神科医
girls' feet:男性だけれども女性のような小さいサイズの足
boot print:靴跡
The boot print on his front door was an 11.
(犯罪現場である自宅の)玄関のドアに残されていた靴跡のサイズは11(29センチ)だ。
Abreu: So? So he was smart. He wore bigger shoes to throw us off.
アブレブ刑事:それで?彼は賢かったんだよ。俺たちを混乱させるために大きな靴を履いたんだ。
Holmes: Did he also wear bigger hands when he strangled his wife?
ホームズ:じゃあ妻ともみ合った際には、大きな手もつけてたのか?
Gregson: Holmes...
グレグソン警部:(どういうことだ?といった表情で)ホームズ
Holmes: Well, these strangulation marks are indicative of a man much larger than Mantlo. No just heavier, but-but taller. I'd estimate his height to be somewhere between six foot-one, six foot-three. Your M.E. will come to the same conclusion in a couple of hours. I'm delivering it now. You're a doctor. Tell 'em I'm right.
ホームズ:(スマートフォンの画面に被害者の遺体の写真を出して見せながら)この絞殺痕はマントロ医師よりも大きな手の男性を示している。体重が重いだけではなく、身長もある。私はこの男性の身長を6.1フィートから6.3フィートだと見積もっている。警察の監察医も数時間で同じ結論にたどり着くだろう。私はそれを今伝えただけだ。(ワトソンに向かって)君は医師だろう。警部たちに私の言っていることが正しいと言ってやってくれ。
strangulation:絞殺、ひもなどで首を絞めて殺すこと
M.E.:監察医、Medical-Examiner
Watson: I'm not a doctor.
ワトソン:私は医師じゃないわ。
Holmes: Were a doctor. Surely you haven't forgotten how bruising works.
ホームズ:医師だっただろ。間違いなく君は絞殺痕がどうなるのかを覚えているはずだ。
bruising:傷跡、打ち身
Watson: Okay, yeah, sure, these hands do seem a little small for the bruise pattern, but I...
ワトソン:オーケー。マントロ医師の手は絞殺痕のあざよりも、ちょっと小さいように見えるけど。でも私は…。
Holmes: With your permission, Captain, I'd like a moment alone with Dr. Mantlo.
ホームズ:(ワトソンの話を遮って)あなたの許可で、グレグソン警部、マントロ医師と二人きりで会いたい。
Abreu: Captain, this...
アブレブ刑事:警部、それは…。
Gregson: You got two minutes.
グレグソン警部:(ホームズに向かって)2分だけだぞ。
調べたところ、英語フォーラムなどで質問が出ていたので、そちらを訳してみました。
和訳は私が読みやすさを重視して意訳してありますので、だいたいこんなことを言っているんだな!程度に考えて読んでくださると助かります。
今回の"if〜"は通常は意訳するのだろうと思いますが、ここでは直訳しています。
【質問】
English term or phrase: if she's (he's) an inch
英語のフレーズ "if she's (he's) an inch" についてご質問します。
From all the sentences with this phrase I can't really guess what it is used for.
こういったフレーズを使ったたぐいの文章を、どういう風に使うのかまったく想像できません。
例えば、こんな文章です↓
(例文) "You're looking into the deepest part of Crystal Lake, ...A hundred feet if she's an inch..."
クリスタル湖の一番深い地点を調査しているんだね、100フィート(約30m)はあるんじゃないかな、もし水深が1インチ(約2.5㎝)あるならね。
【回答A】
emphatic.
強調の表現です。
Explanation: Suggesting that the figure may be even an underestimation
詳しくご説明しますと、いただいた例文を発話している人物は、クリスタル湖の水深を実際よりも浅く見積もって言っていますよと "if she's an inch" を入れることで、それとなく相手に伝えているように思います。
to suggest:提案する、暗示する、示唆する、それとなく言う
the figure:人物、この場合は上記質問の例文を発話している人物
underestimation:過小評価、過小見積もり
※「クリスタル湖の最深部の水深は自分も知らないけれども、湖の大きさなどの他の要素を勘案すれば、水深が1インチは絶対にあるのであれば、実際のところ100フィートはあるんじゃないのかな=少なく見積もっても100フィートは絶対ある」というニュアンスなのかなと思います。
(although in some contexts it will turn out to be an exaggeration! - wonderful language!)
とは言うものの、文脈によっては過小評価を強調する表現は、その反対に過大評価(誇張)を強調する表現ともなります。言語って面白いですね!
to turn out:結果的に〜になる
exaggeration:誇張、誇張した表現
※おそらく、上記で説明された「時として過小評価を強調することは誇張を意味する」の事例として↓の例文があげられているのだと思います。
(例文) "Joe Paterno is 8 feet tall if he's an inch" (引用元)
ジョー・パターノの身長は、8フィート(約2.4m)はあるだろう。彼の身長が1インチ(約2.5㎝)はあるのであれば。
Joe Paterno:ジョー・パターノ、アメリカのカレッジフットボール(アメリカンフットボール)の指導者、名門ペンシルバニア州立大学の監督を46年間にわたり務め、通算298勝、シーズン無敗を5度達成し、2007年には殿堂入りを果たす(日本語版Wikipedia)
※パターノ氏のWikipediaの写真を見て、さすがに身長が2.4mもはないだろうと思い例文の引用元を読んでみたのですが、他のある監督に対して「パターノは偉大な監督だ!それに比べてお前ときたら!」というニュアンスで書かれているように思いました。ですので実際の身長ではなく監督としての存在の大きさ、偉大さ、アメリカンフットボール界の巨人である、と言いたいのかなと思います。
※パターノさんはアシスタントコーチによる8人の男児への性的虐待を隠蔽したとして2011年にペンシルバニア州立大学の監督の座を解任され、その話がアル・パチーノ主演で「嘘の天才~史上最大の金融詐欺~」という映画になっていいる。
【回答B】
Gosh, this is a really funny expression when you come to think of it. It's quite normal, but doesn't actually make any sense when you analyse it - I suppose that's idionmatic English for you.
あら、考えてみたらこの言い回しは本当に面白い表現ね。本当に普通に使っている言い方だけれどれも、でも実際の水深の深さや物の大きさを指したものではないのよ。習慣的に用いられている慣用句的な表現ね。
Gosh:おや、まあ
to come to think of it:考え直してみると、考えてみると、そういえば
analyse:分析する、解析する、英国で主に使われる、=analyze
idionmatic:習慣的に用いられているフレーズ、慣用的な、慣用語法の
I would understand it to mean "at my best guess" - if I had to estimate the depth of the lake, I would estimate it to be close to 100 feet.
推測だけれども私が思うに、この言い回しは「私がこの湖の深さを見積もらなければいけないとすれば、おおよそ100フィートくらいじゃないでしょうか」という意味じゃないかしら。
at a guess:推測で
to estimate:見積もる、評価する、推定する
depth:深さ、深度、奥行き
close to:〜に近い、ほとんど〜、ほぼ〜
HTH
私のこの回答が、あなたのお役に立てばいいのですが。
HTH:これがお役に立つといいのですが、"Hope This Helps"の略語でネットスラングの一種、質問に答えたりアドバイスしたあとに付け加えられる言葉
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