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オランダ関連の英語フレーズ:Dutch courage, Dutch wife, Dutch gold, Dutch treat/To go dutch, Dutch doors, Dutch uncle

 

ESL Podcast Cultural English(English Café)596」の1つ目の話題の「Dutch courage, Dutch treat/To go dutch, Dutch uncle」の要約です。

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オランダに関するあんまり良くない意味の言葉が多いなっていうのは気がついていたんですが、イギリスとオランダの覇権争いの結果だと聞いてすごく納得!あとダッチワイフが人形じゃなくてびっくり。

 

英語にオランダ(Dutch)に関する表現がある理由

オランダ(Netherlands)

 

the Dutch:オランダ人

"the Dutch"とは、西ヨーロッパにありドイツ(Germany)とベルギー(Belgium)に隣接する国オランダ(Netherlands)から来た人たちのことで、"Holland"と呼ばれることもあります。

※ベルギーの発音に注意。べるじゃむ(béldʒəm)です。

アメリカ英語には、オランダに関連する言葉がたくさんあります。

 

イギリスとオランダの争い

なぜオランダ関連の言葉が多いのか理解するために、歴史を少し紐解いてみましょう。

17世紀から18世紀にかけて、イギリス人(the English)とオランダ人(the Dutch)は、数年に渡り戦っていました。

戦いの主な理由は貿易(trade)に関するものでした。

関連サイト:wikipedia 英蘭戦争

 

イギリス(Great Britain)とオランダ(Netherlands, Holland)の戦争の大部分は、自分たちの植民地(colony)を維持することに費やされました。

当時はイギリスとオランダは世界中に植民地を持っており、それらの場所で行われていた貿易に関しては意見の相違(disagreement)がありました。

また他国の植民地を支配下に置こうとする試みが、当時は新世界(the New World)と呼ばれていたアメリカでもありました。

イギリスとオランダの北アメリカでの争い(competition)は特に激しいものでした。

そういうわけで当然のことながら(Not surprisingly)イギリスとオランダは互いに相手のことがあまり好きではなかったのです。

そのような互いの憎しみ(this hatred)が言語の世界にも入り込み、時間が立つにつれ、英語の中にオランダに関する表現が出てくるようになったのです。

それらの表現は、オランダを褒める(compliment)ようなものではありません。

これからオランダに関連する表現をいくつかご紹介しますが、それはもちろんオランダを非難する(pick on)ためではありません。

オランダの皆さん、怒らないでくださいね。よく使われる表現なんです。

 

 

オランダに関する英語表現

"Dutch"という言葉は、誤っている(false)、もしくは事実ではない(not real)という意味で18世紀のアメリカでは使われていました。

そこから以下のような表現が生まれました。

 

Dutch courage:お酒の力で得る勇気や自信

慣用句(idiom)の"Dutch courage"は、勇気を出すのにお酒が必要だという意味です。

courage:勇気、度胸

例えば、美しい女性にあって彼女の電話番号を聞きたい男性は、次のようなことを言うかもしれません。

I need some Dutch courage.

ちょっとお酒の力を借りなきゃ。

上記の文では、女性に電話番号を聞きに行く自信(confident)を持つために、お酒を飲む必要があると言っているのです。

このフレーズは、オランダ人がお酒のジン(gin)を飲む習慣から来たものだと言う人たちもいます。

ジンは無色で水のように見えるお酒で、オランダの兵士たちはよく飲んでいましたが、当時はまだイギリスではあまり人気がありませんでした。

また一部の人は"Dutch courage"という慣用句は、お酒を飲まなければオランダ人は勇気が出せない臆病者(cowards)だと言っていることになるので、たいへん屈辱的な言い方(an insult)と言っています。

 

Dutch wife:売春婦

"Dutch wife"は、お金を受け取って性的な関係を持つ女性のことで、別の言葉でいうと売春婦(prostitute)です。

この言葉はもう使われていません。

ですので、今もし使っても誰も理解できないでしょう。

Dutch wife:本来はいわゆる「現地妻」のことでした。オランダ領東インド(現インドネシア)への長期単身赴任中のオランダ人が現地で愛人を持ったことを揶揄する表現です。現在ではある種の特殊な目的で使われる抱き枕のことですが。 

Dutch widow:売春婦。現在では廃れた表現のようです。

ヤフー知恵袋より

 

Dutch gold:金ピカの偽物、本物に見える偽物

"Dutch gold"は、輝いて高価に見えるけれど、実は偽物(fake)という意味です。

基本的に"Dutch gold"な物は、価値がない(worthless)もののことです。

 

to go dutch/Dutch treat:割り勘にする、割り勘

"to go dutch"または、"Dutch treat"は、割り勘にするという意味です。

a treat:予期しない素晴らしい贈り物;奢ること、ごちそうすること

to treat:食事などに招待して奢ってあげる;取り扱う、治療する、みなす

You know what? Let’s go Dutch.

ねぇ、割り勘にしようよ。

You know what?:あのね

 

Dutch doors:上下を分けて開けられるドア

研究者の一部は、「割り勘」という意味の前出の"Dutch treat"は、"Dutch doors"から来た言葉だと考えています。

"Dutch doors"は、農場で昔から見かけるドアの一種で、上部と下部に分けて開けられるドアのことです。

 

上部だけを開けて室内を明るくしたり、空気を入れたりし、下部は閉じたままで動物を屋内に留めることができる便利なドアです。

この"Dutch doors"は上部と下部で2つに分かれるので、そこから割り勘の意味の"Dutch treat"が来ているのではないかということですが、本当かどうか分かりません。

オランダ人はケチだ(tight-fisted)という評判(reputation)があることが、これらの表現の裏にはあります。

"tight-fisted"の"fist"は、握りこぶしのことで、お金をつかんで離さないところをイメージすると"tight-fisted"がケチという意味が分かると思います。

簡単に"He’s tight."とだけいうこともあります。

He’s tight.

He’s tight-fisted.

彼はけちです。

 

Dutch uncle:ずけずけと厳しく批判するひと

2、3代前の世代よりは一般的ではなくなってきているけれど、現在でも使われているオランダ関連のフレーズとして"Dutch uncle"があります。

"uncle"は、おじさんという意味ですが、英語には"avuncular"という単語があり、意味はおじさんのように親切にしてくれる、まるで自分の甥っ子や姪っ子であるかのように理解を示してくれるという意味です。

avuncular:(形)おじのような、おじのように優しい

ですが"Dutch uncle"は、アドバイスはくれるものの、あまり親切なやり方ではなく、たいへん率直に(very direct)、不快で厳しい(harsh)やり方でアドバイスをくれるひとという意味です。

とても意地の悪い(mean)言い方で、あるいは怒った感じすら見せて、叱っている(scold)のかもしれません。

この"Dutch uncle"という言い方は、オランダ人があまり親切な人たちではないと暗に言っている(imply)たいへん無礼な言い回し(insulting)のように思えます。

"Dutch uncle"は、お酒の力を借りて得る勇気(Dutch courage)や割り勘にする(to go Dutch)というフレーズよりは一般的ではありませんが、でもまだ使われています。

 

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