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ESL Podcast English Café 581-1:腹黒知事に挑む弁護士達!オモシロすぎる言論の自由をめぐる法廷闘争!ジョン・ピーター・ゼンガー裁判, The John Peter Zenger Trial

2016/12/10

lawyers

ESL Podcast English Café 581」の1つ目の話題の「ジョン・ピーター・ゼンガー裁判:The John Peter Zenger Trial」の要約です。同じ回の他の話題については以下のリンクからどうぞ。

ESL Podcast English Café 581-2:質問コーナー tone, hue, tint, shade; wherewithal; saw, sew, sow, sue の発音

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今回のお話は面白い!まるでドラマを見ているみたい。「言論の自由」とか言うと固い感じがしますが、典型的な悪役、陰謀、罠、男たちの友情、法廷闘争と見どころがたっぷり。悪役の知事さんがあまりにも悪過ぎて笑っちゃうくらいのはまり役。対する被告人と弁護士達の奮闘も時代を超えて熱さを感じます!

 

目次

The John Peter Zenger Trial

今日のイングリッシュ・カフェでは、たいへん興味深い訴訟事件についてお話しましょう。

 

freedom of speech:言論の自由

この「ジョン・ピーター・ゼンガー裁判」は、アメリカ人の言論の自由(freedom of speech)に対する見方を変えました。

 

colony:植民地、移民団、居留地、群れ

ジョン・ピーター・ゼンガーは、1697年にドイツ(Germany)で生まれました。

1710年、彼が13歳のときにアメリカにあった植民地(American colonies)に移りました。

移民団(colony)とは、ある国の人達からなるグループのことを指し、その人達は自分達の国から他の場所へ移り住み、その場所を自分が属する国の一部にします。

 

set up:(組織・事業などを)設立する・起こす、(看板などを)掲げる、(小屋などを)建てる

植民地や移民は、この当時、特に欧州ではごく普通のことでした。

アメリカやアフリカ、オーストラリア、アジアに彼らは行き、植民地を築き(set up)ました。

基本的には、その土地を乗っ取り(take over)自分たちの土地にしていました。

 

ancient:昔の、古代の

古代の(ancient world)のギリシャ人(Greeks)とフェニキア人(Phoenicians)も。このような植民地を築くことをしていました。

欧州人によって考えられたことではなかったのです。

フェニキア(Phoenicia)は、古代の地中海東岸に位置した歴史的地域名。シリアの一角であり、北は現シリアのタルトゥースのあたりから、南はパレスチナのカルメル山に至る海岸沿いの南北に細長い地域であって、およそ現在のレバノンの領域にあたる。

 

to belong:~に属する、~のものである、~の一員である

この時期、北部アメリカにはイギリス(Great Britain)に属する(belong)13箇所の植民地がありました。

この13箇所の植民地が、現在ではアメリカ合衆国と呼ばれる国になるのですが、当時はまだイギリスの一部でした。

 

apprentice:徒弟、年季奉公人;初心者、実習生

ゼンガーはニューヨークに行き、ウィリアム・ブラッドフォード(William Bradford)という名の印刷業者(printer)の徒弟(apprentice)となりました。

徒弟(apprentice)とは、ある仕事をするのに必要なスキルを学ぶために、一定期間、ある人物と一緒に働くことに同意した人のことをいいます。

 

plumber:配管工

現代のアメリカでも、配管工(plumber)や電気技師(electrician)になるために徒弟(apprentice)になり学ぶ必要があります。

 

printer:印刷工、印刷業者

ゼンガーは印刷業者(printer)となるため、徒弟(apprentice)となりました。

印刷業者(printer)とは本や新聞を印刷する仕事のことです。

ゼンガーは最初は印刷業者ブラッドフォードの元で8年もの間を徒弟(apprentice)として働き、その後1725年にはブラッドフォードのビジネスパートナーとなり、1726年には自分の印刷業を立ち上げました。

 

journal:雑誌、定期刊行物、日記、日誌

1733年、ゼンガーは「ニューヨーク・ウィークリー・ジャーナル:The New York Weekly Journal」という新しい雑誌(journal)を印刷しはじめました。

大学や科学の世界ですと、"journal"はある科学的な研究についての雑誌という意味になります。

ですが、より一般的には、ある種の新聞や雑誌のことを"journal"と呼びます。

 

governor: (米国各州の)知事、  (地方などの)長官

ゼンガーの雑誌(journal)は、政治に焦点を当てた雑誌で、特にニューヨークの新知事(governor)ウィリアム・コスビー(William Cosby)に関することが書かれていました。

このコスビー知事が、アメリカの俳優兼コメディアンのビル・コスビー(Bill Cosby)と関係があるか私には分かりませんけどね。

 

unless~:~でない限り、もし~でなければ

ニューヨークにあった植民地の知事は、もちろん権力を持っていますから、もし彼に対する記事を書けば、良い事を書いた記事でない限り(unless)彼は気分を害する(upset)でしょう。

 

to criticize:批判する、酷評する

ゼンガーはコスビー知事の良い事を書かず、彼を批判する(criticize)記事を書きました。

 

to rig:八百長をする、不正をする、装備する、着飾る

記事には、知事があらゆる種類の犯罪や不法な事に関与し(committed crimes)、選挙で不正をしていると書いてありました。

"to rig"とは、利益を得たり選挙で勝つために、不法な事をするか、不正な方法(dishonest way)をとったという意味です。

 

to accuse:告発する、訴える

ゼンガーの新聞は、ニューヨーク・コロニーの知事を告発する(accuse)ものでした。

 

anonymous:匿名の、作者不明の

コスビー知事は、この記事が気に入りませんでした。

特に、記事の多くが匿名で(anonymously)発行されているのが気に入りませんでした。

匿名の(anonymous)とは、誰が書いたのかを記さないまま、紙面に記事を掲載するという意味です。

 

after all:なんといっても、結局、やはり

それらの記事は、ゼンガーが書いたものではありませんでした。

彼はただ、新聞を印刷しただけだったのです。

彼は、なんといっても(after all)印刷業者であってジャーナリストではありませんでした。

 

responsible:責任がある、原因があって

ですが当時の法律では、誰が記事を印刷したとしても、その印刷をした人が記事を書いた人として扱われ、記事を書いた責任がありました。

コスビー知事は、ゼンガーに書いた責任があるとしました。

 

libel:名誉毀損、名誉毀損文書

1734年、ゼンガーは名誉毀損(libel)により逮捕されました(be arrested)。

名誉毀損(libel)は、現在では法律用語で、虚偽(untrue)や間違った(false)ことを書いたり、公表したりして、書かれたひとの評判(reputation)を傷つける(hurt)ということです。

当時、名誉毀損(libel)とは、記事などの内容が事実か事実でないかに関わらず(regardless)、政府の行っていることに賛成しない(wasn’t in favor of)内容の記事を書くことを意味しました。

現在では、名誉毀損(libel)とは、間違った内容で書かれた人がダメージを受けているようなことを指します。

 

trial:裁判、公判、審理、試験

ゼンガーは、10ヶ月間、牢屋で過ごしました。

10ヶ月も牢屋で過ごさなければならなかった主な理由は、ゼンガーが記事を書いた人のことをしゃべらなかったからでした。

結局、裁判(trial)になりました。

裁判(trial)とは、法的な公の証拠や事実に対する審査(examination)で、裁判官(a judge)や陪審員団(a jury)の前で行われます。

 

to remove:取り除く、解任する

ゼンガーには、たいへん優秀な弁護士であるアレクサンダー弁護士(James Alexander)とスミス弁護士(William Smith)の2人がつきました。

もしゼンガーを無罪にできるとすれば、この2人の弁護士だろうと、皆が考えるほどたいへん優秀な弁護士たちでした。

ですが不運にもコスビー知事には、権力を持つ友人おり、法の世界(court system)にもそういった友達がいました。

知事の友達の裁判官たちは、ゼンガーの優秀な弁護士達を解任する(remove)方法を見つけました。

彼らの弁護士としての資格を剥奪したのです(disbar)。

 

to disbar:弁護士の資格を剥奪する

弁護士資格を剥奪する(to disbar)とは、弁護士として、ある州で活動できる能力(ability)を失うということです。

基本的に、州(the state)が許可(permission)を取り消します。

アメリカで弁護士になるには、ロースクールで勉強してから司法試験に合格しなくてはなりません。

それから州が弁護士としての許可を与えてくれるのです。

 

to replace:取って代わる、後任になる

コスビー知事たちは、ゼンガーの弁護士にチェンバーズ弁護士(John Chambers)を新たに後任の弁護士に任命しました(replace)。

チェンバーズ弁護士は、若くまったく弁護士としての経験がありませんでした。

それが彼が選ばれた理由だったのです。

 

to ensure:確実にする、保証する

コスビー知事たちは、この新米弁護士任命により、ゼンガーが有罪となる(be found guilty)のを確実にした(ensure, make sure, make certain)かったのです。

 

to quit:仕事などをやめる、断念する、放棄する

弁護士資格を剥奪されたアレクサンダー弁護士とスミス弁護士は、諦めませんでした。

断念しなかったのです(didn't quit)

2人は、弁護士経験の豊かでたいへん知的なアンドリュー・ハミルトン弁護士(Andrew Hamilton)を連れてきました。

このハミルトン弁護士は、アメリカの著名な人物で、初代アメリカ財務省長官であるアレクサンダー・ハミルトン(Alexander Hamilton)とは別人ですので間違えないでくださいね。

この2人は親類同士ではありませんよ。

 

pro bono:(ラテン語)プロボノ、専門家が知識や経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般

ハミルトン弁護士は、スコットランド生まれで、イギリスで弁護士として成功していました。

そして、18世紀初めにアメリカにきて、弁護士活動をはじめ、たいへんな活躍を収めていました。

そしてゼンガーの件を引き継ぎ(take over)、無料で(for free)弁護をすることにしました。

ハミルトン弁護士は、社会貢献のために自身の知識を活かしたボランティア活動(pro bono)をすることにしたのです。

"pro bono"は、ラテン語の言い回しで、英語でいうと無料という意味の"for free"になります。

 

jury:陪審、陪審員団

ハミルトン弁護士が最初に取り組んだことは、裁判が陪審(jury)の前で行われるようにすることでした。

陪審員団(a jury)とは、ある人が有罪か無罪かを決定する人達のグループのことで、通常は12名からなります。

これは大変重要なポイントでした。

コスビー知事は知事の友人である裁判官たちだけで裁判をしようとしていたからです。

知事の友人の裁判官たちだけで裁判をするのは、ゼンガーが有罪になるようなものでした。

ですが、市民で構成される陪審団が判決を下せば、ゼンガーにもチャンスがあるとハミルトン弁護士には分かっていました。

 

to admit:認める、許す、余地がある

裁判中、ゼンガーは問題となった記事を印刷したことを認めました(admit)。

裁判官は陪審団に、ゼンガーが問題の記事を印刷をしたことだけをもって判決を下さなければならないと言っていました。

ですがハミルトン弁護士は、ゼンガーは名誉毀損(libel)の罪には当たらないといい、名誉毀損の新しい説(theory)を提示しました。

それは、間違った内容や、事実ではない内容を印刷したときに名誉毀損(libel)の罪になるという説でした。

 

corrupt:(形)腐敗した、汚職の、不正を働く、堕落した

ゼンガーが印刷した記事は、知事の真実の姿を描いていました。

事実、知事は不正を働いており(was corrupt)、不法なことをしていたからです。

ハミルトン弁護士は、陪審団に、ゼンガーの記事が事実であり、罪がないことを理解させました。

この裁判は長くは続かず、すぐに陪審団は記事が事実だと判断し、ゼンガーは自由になるべきだとしました。

 

definition:定義、映像などの鮮明さ

この陪審団の決定は、人々の名誉毀損(libel)に対するに定義(definition)を改めさせました。

そしてその後は、間違った内容を印刷したときだけ、名誉毀損(libel)が適応される(applied)ことになったのです。

 

free press:出版の自由

ゼンガーは裁判後も印刷業を営み、1736年には自身で裁判のことを執筆し、自分の新聞上に発表しました。

ゼンガーは独立戦争(American Revolution)前の1746年に亡くなりましたが、ゼンガー裁判は出版の自由(free press)という考えに変化をもたらしました。

 

press:記者団、報道陣、印刷物、新聞、雑誌

"press"とは、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどでジャーナリストとして働くすべての人々のことです。

 

Constitution:憲法、規約、構成

出版の自由(free press)は、アメリカの憲法(Constitution)にも取り入れられました。

 

amendment: 改正、修正(案) 

これは、合衆国憲法修正第一条(First Amendment)と呼ばれているものとなり、権利宣言(Bill of Rights)と呼ばれるものの一部となっています。

 

Bill of Rights:権利章典(1791年)

権利宣言(Bill of Rights)とは、1788年に発行した合衆国憲法に、最初に改正が加えられた10か条のことです。

 

freedom of religion:信教の自由、信仰の自由

アメリカ人は、ニュースなどの中でよく合衆国憲法修正第一条(First Amendment)について言及します。

これは憲法に加えられた最も重要な改正だと、多くのひとが思っています。

合衆国憲法修正第一条は、信仰の自由(freedom of religion)で始まり、言論の自由(freedom of speech)、報道の自由(freedom of the press)も含まれています。

 

Philadelphia lawyers ①:頭がよく知的な弁護士

ゼンガーを守ったハミルトン弁護士は、フィラデルフィア(Philadelphia)に住んでいました。

実は、"Philadelphia lawyers"という言い回しがあります。

もうあまり使われていませんが、時折(occasionally)出くわす(come across)ことがあるでしょう。

意味は、「頭がよくて賢く知的な弁護士」という意味です。

この表現は、ゼンガー裁判とハミルトン弁護士から来ているのです。

 

Philadelphia lawyers ②:不誠実な弁護士

ですが、「不誠実な弁護士:dishonest lawyer」という意味もあることを言っておくべきでしょう。

頭のよさと知性を、依頼人の無罪のために使う弁護士ということなんです。

この言葉は、いつも褒め言葉(compliment)になるわけではありません。

その状況によるんです。

 

関連サイト:Wikipedia(ジョン・ピーター・ゼンガーJohn Peter Zenger

 

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