ESL Podcast English Café(Cultural English) 586-1:マルコムX(Malcolm X)イスラム教に改宗したアフリカ系アメリカ人解放指導者
2016/12/25
「ESL Podcast English Café 586(Cultural English 586)」の1つ目の話題の「マルコムX:Malcolm X」の要約です。同じ回の他の話題については以下のリンクからどうぞ。
目次
- Malcolm X
- minister:聖職者(特にプロテスタント)、牧師、大臣、公使
- black nationalism:ブラック・ナショナリズム、アメリカの急進的な黒人解放運動
- to rule :支配的する、統治する
- radical:急進的な、過激な、革命的な
- Whereas:(接)ところが、~に反して、(対比・対立などの節を導く)
- to murder:殺す、殺害する
- insane asylum:精神病院、精神科病院
- insane:正気でない、狂気の、精神異常者の;非常識な、馬鹿な
- asylum:避難、亡命;隠れ場所、避難場所、保護施設
- foster homes:里子を預かる家、孤児院、里親家庭
- drop out:脱落する、落第する、退学する
- half sister:異母姉妹、異父姉妹
- robbery:泥棒、強盗
- religious conversion:改宗
- to memorize:記憶する、暗記する
- to debate:討論する、論争する
- worship:礼拝、参拝、崇拝
- temple:(キリスト教以外の仏教などの)神殿、寺院
- second-in-command:副司令官、次長
- civil rights:公民権、市民権
- an advocate:主唱者、擁護者、代弁者
- by any means necessary:いかなる手段でも、なんとしてでも
- adoption:採択、取り入れること、養子
- to get along:仲良くする、先に進む
- paternity suit:実父確定訴訟、父子関係確定訴訟
- paternity/maternity:父性、父権/母性、母らしさ
- chickens come to roost:鶏はねぐらに返ってくる;身から出た錆、因果応報、自業自得、人を呪わば穴二つ
- Mecca:サウジアラビアにある都市名メッカ
- orthodox:正統の、正しいと認められた、伝統的な
- be convicted:有罪と宣告される
- autobiography:自伝、自叙伝
- separatist:分離主義者
Malcolm X
今回は、1950年代、60年代に公民権運動のリーダー(civil rights leader)だったマルコムXについてお話しましょう。
マルコムXは、1925年にマルコム・リトル(Malcolm Little)としてネブラスカ州のオマハ(Omaha, Nebraska)で生まれました。
オマハは、シカゴから西へ500マイルのところにあり、ネブラスカ州はアメリカの中央に位置します。
マルコムと家族は、彼がまだ赤ちゃんの頃にミシガン州へと移りました。

Omaha, Nebraska
minister:聖職者(特にプロテスタント)、牧師、大臣、公使
マルコムは困難な子供時代を過ごしました。マルコムの父アール・リトル(Earl Little)はバプテスト派(Baptist)の教会の牧師(minister)でした。
black nationalism:ブラック・ナショナリズム、アメリカの急進的な黒人解放運動
マルコムの父は、ブラック・ナショナリズム(black nationalism)の支援もしていました。
ブラック・ナショナリズム(black nationalism)というのは、アフリカ系アメリカ人は自分たちの歴史、先祖から伝わる文化的遺産(heritage)に誇りを持つだけでなく、より大きな政治的な力を得るべきだという思想(idea)のことです。
to rule :支配的する、統治する
またブラック・ナショナリズムは、アフリカ系アメリカ人の白人からの分離(separate)を促しており(encourage)、自分たちが統治する(rule)国をアメリカの中につくろうとする運動(a movement)でした。
radical:急進的な、過激な、革命的な
ブラック・ナショナリズム運動は50年代、60年代に起こった、社会を変えようとする幅広い政治運動の一部でした。
ですが、より急進的(radical)な運動だと考えられていました。
Whereas:(接)ところが、~に反して、(対比・対立などの節を導く)
公民権運動(civil rights movement)が黒人に平等な権利を与えようというものであったのに対して(Whereas)、ブラックナショナリズムは、アフリカ系アメリカ人が独自に責任を持つ政治機構(political structure)を作ろうと試みていました(attempt)。
to murder:殺す、殺害する
マルコムが、わずか6才のときに父親が死去します。残念なことに路上で車にぶつけられたのです。
一部の人達は、彼の考えを気に入らない人が殺したのではないかと疑いました。
insane asylum:精神病院、精神科病院
父親の死後、マルコムの家族はたいへん困窮しました。
そして彼の母は彼が14才のときに、多大なストレスと困難にのために精神病院(insane asylum)に入院しました。
insane:正気でない、狂気の、精神異常者の;非常識な、馬鹿な
"insane"は「正気でない、狂気の」という意味で、この反対の言葉は「正気の、気が確かな」という意味の"sane"です。
asylum:避難、亡命;隠れ場所、避難場所、保護施設
"asylum"は、病院、精神的な問題を抱えた人達のための場所のことです。
foster homes:里子を預かる家、孤児院、里親家庭
母親が入院したため、マルコムと兄弟姉妹は、里親家庭(foster homes)に連れて行かれました。
里親家庭(foster homes)とは、子供が大人になるまで面倒をみてくれる家族以外の人達のことです。
drop out:脱落する、落第する、退学する
マルコムはよい生徒でしたが、学校を退学しました(drop out)。
彼が8学年生のときの先生に、弁護士になろうとするよりも大工(a carpenter)になったほうがいいと言われたからのようです。
half sister:異母姉妹、異父姉妹
マルコムは異母姉妹のエラ(Ella)と暮らし、薬物の売人(drug dealer)を含め、犯罪に関与するようになります。
そして、彼はニューヨーク市のギャングのリーダーになったのです。
彼のニックネームは「デトロイトの赤:Detroit Red」でした。
彼の黒髪が、少し赤みがかっていたからです。
robbery:泥棒、強盗
1946年に、マルコスは強盗(robbery)の罪で刑務所に7年入りました。
religious conversion:改宗
刑務所にいる間、彼は自分の人生とついて真剣に考え、改宗(religious conversion)しました。
キリスト教からイスラム教へと改宗したのです。
そして、ネーション・オブ・イスラム(Nation of Islam)と呼ばれるグループに参加しました。
ネーション・オブ・イスラム(Nation of Islam)は、1930年にミシガン州のデトロイトで始まったアフリカ系アメリカ人のイスラム教運動のことです。
それはネーション・オブ・イスラムとブラックナ・ショナリズムの思想が結合されたものでした(combined)
マルコムは改宗した際に、名前をリトルから文字のXにしました(replace)。
ネーション・オブ・イスラムの信奉者(follower)は、この件について、奴隷制が違法になる1865年以前、奴隷の姓は奴隷の持ち主に由来していたことから来ていると考えていました。
ネーション・オブ・イスラムのメンバー何人かは、自分の姓を取り除いていました。
マルコムは改宗後、他のムスリムがしているように、煙草もギャンブルもやめ、豚肉も食べなくなりました。
そして刑務所の図書館で本を読んで多くの時間を過ごしました。
to memorize:記憶する、暗記する
一部の人が言うには、マルコムは辞書まるごと暗記(memorize)しようとしてさえいたそうです。
to debate:討論する、論争する
彼はまた、討論の技量(debating skills)も伸ばしました(developed)。
これは彼が刑務所を出てから、たいへん役立ちました。
マルコムX演説
worship:礼拝、参拝、崇拝
刑務所を出た後、マルコムはネーション・オブ・イスラムのリーダーのひとりになります。
この組織の主なリーダーは、シカゴにいたイライジャ・ムハマンド(Elijah Muhammad)でした。
temple:(キリスト教以外の仏教などの)神殿、寺院
マルコムは組織の重要な地位をまかされ、最後には他の大きな都市で組織の礼拝(worship)につかう建物の寺院(temple)を確保し、その地下室では新聞も印刷し発行し始めました。
マルコムはすばらしい演説ができ、極めて頭のいい男性でした。
そして自分たちの組織に参加してくれる人々を獲得しようとし、一時は50万人もの人がメンバーになりました。
彼はボストンのネーション・オブ・イスラム寺院の第一牧師(the first minister)を務めるまでになり、後にニューヨーク市のハーレム(Harlem)の第一牧師となりました。
ハーレムは元来アフリカ系アメリカ人が多く住む地域で、ここの寺院はシカゴでイライジャ・ムハマンドが率いる寺院の次に大きなものでした。
second-in-command:副司令官、次長
ムハマンドはマルコムを組織の副司令官(second-in-command)にしました。
副司令官とは、組織で2番目に権力を持つリーダーという意味です。
マルコムは素晴らしい演説家であり、組織のまとめ役(organizer)でした。
様々な街で寺院を始め、そしてメンバーを獲得することができる人物でした。
1958年に、マルコムXは、彼の演説を聞きに来たベティ・サンダース(Betty Sanders)という若い女性と知り合います。
彼女は、大学を卒業した看護婦でした。
2人は後に結婚し、6人の娘を授かりました。
civil rights:公民権、市民権
50年代、60年代の公民権運動(larger civil rights)の主要なリーダーは、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア師(Reverend Martin Luther King Jr.)でした。
彼は黒人ではない(non-black)アメリカ人と同じ権利を、アフリカ系アメリカ人に与えるという考えの持ち主でした。
マルコムはまったく異なる考えを持っており、アフリカ系アメリカ人は白人から分離し、自分たち自身の国を持つのがベストだと思っていました。
an advocate:主唱者、擁護者、代弁者
マーティン・ルーサー・キング師はまた、非暴力主義(nonviolence)の擁護者(an advocate)でもありました。
by any means necessary:いかなる手段でも、なんとしてでも
マルコムXは、非暴力主義を信じていませんでした。
実のところ、マルコムは進歩(progress)するには暴力を通して行うのが最良だと考えていました。
彼は、アフリカ系アメリカ人が公民権を得るために、いかなる手段でもとろう(by any means necessary)と考えていたのです。
ここでの"means"は、なにかを行うやり方(ways or methods)のことです。
この2人の異なる考えをもつキング師とマルコムXは、両者とも素晴らしい演説者でした。
マルコムXはハーバード大学やイギリスのオックスフォード大学に行き、彼の考えを話したこともあります。
adoption:採択、取り入れること、養子
マルコムは中でも、黒人の言い表し方を変えることに尽力しました(helped)。
20世紀中頃に使われていたニグロ(Negro)やカラード(colored)といった用語を使うことを非難し(criticize)、最後には、代わりにアフリカ系アメリカ人(African American)という言葉を取り入れ(adoption)させました。
またマルコムはアフリカ諸国に大変興味を持っており、旅行で訪れることもしました。
to get along:仲良くする、先に進む
1963年までマルコムは様々な面で成功を収めていましたが、ネイション・オブ・イスラムのリーダーであるイライジャ・ムハマンドとはあまり上手く(get along)いっていませんでした。
ネイション・オブ・イスラムが組織として、公民権運動にどう関わっていくかについて、2人の意見が合わなかったのです。
paternity suit:実父確定訴訟、父子関係確定訴訟
またムハマンドが、複数の私設秘書の女性との間に6人もの子供をもうけていることが分かりました。
秘書のうち2人が実父確定訴訟(paternity suit)を起こしたことから判明しました。
paternity/maternity:父性、父権/母性、母らしさ
"paternity"は、父親を表すラテン語の"pater"からきていて、父親であること(fatherhood)を意味します。
反対の言葉は、母親を表すラテン語の"mater"からきた"maternity"です。
chickens come to roost:鶏はねぐらに返ってくる;身から出た錆、因果応報、自業自得、人を呪わば穴二つ
マルコムはムハマンドの態度が不満で、ムハマンドはマルコムの発言が不満でした。
特に論争となったのは、1963年にケネディ大統領(John F. Kennedy)が暗殺された後、マルコムが言った「これは"chickens come to roost"の例だ」という発言でした。
"chickens come to roost"とは、「悪いことは過去の悪い行いの結果として現れる」という意味です。
ケネディ大統領が暗殺されたのは、彼が暴力的な社会を作ることに手を貸したからだとマルコムは発言したのです。
このマルコムの発言は、多くのひとから非難され、その中にはネイション・オブ・イスラムのリーダーであるイライジャ・ムハマンドも含まれていました。
Mecca:サウジアラビアにある都市名メッカ
この時期、マルコムはサウジアラビアにある宗教的な都市メッカ(Mecca)に行くことを決めます。
ここはムスリムにとって聖なる場所です。
そして2回目となる改宗をし、イスラム教スンニ派(Sunni branch of Islam)になりました。
その後、彼はまた改名をし、"el-Hajj Malik el-Shabazz"となりました。

Mecca, Saudi Arabia
orthodox:正統の、正しいと認められた、伝統的な
マルコムはネイション・オブ・イスラムと彼らのブラック・ナショナリズムの思想にはもう従わないことにしました。
彼らのやり方はアメリカにおいてアフリカ系アメリカ人の発展(progress)させないと、マルコムは見るようになり始めていました。
彼はムスリムとしてより正統な(orthodox)考えを持つようになりました。
彼はネイション・オブ・イスラムを去り、自分で新しい組織を作りましたが、これが問題を引き起こすことになります。
ネイション・オブ・イスラムの多くのメンバーは、マルコムXが組織を去ったため彼を殺すと脅しました(threaten)。
そしてついに1965年2月21日に、マルコムXはニューヨーク市で演説中に実際に殺されました。
be convicted:有罪と宣告される
3人のネイション・オブ・イスラムのメンバーが、マルコムX殺害で有罪と宣告されました(be convicted)。
autobiography:自伝、自叙伝
マルコムが殺害される前に、アレックス・ヘイリー(Alex Haley)という名の若い作家が、彼の人生についてインタビューしていました。
そして「マルコムX自伝:The Autobiography of Malcolm X」が1965年に発表されました。
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この本はたいへん人気となり、作家のアレックス・ヘイリーはその後、「ルーツ:roots」という彼自身の家族のアフリカでの歴史について書いたものです。
ですが、後の人々は、「ルーツ:roots」の一部の内容が事実である可能性が、他の部分よりも低いことを発見しました。
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1992年にはマルコムXの映画が製作され、マルコムX役はデンゼル・ワシントン(Denzel Washington)でした。
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separatist:分離主義者
マルコムXは人生の最後に考えを放棄して(renounce)いたにも関わらず、現在アメリカで彼は、アフリカ系アメリカ人の進歩という視点から、暴力の擁護者(advocate)であり、分離主義者(separatist)であったと考えられています。
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